【第5講(5日目)】○○肌について学ぶ
こんにちは。
皮膚臨床技術研究会のシニアフェロー、牛田専一郎です。
昨日は、お湯洗髪についてお話しましたね。
今日は、具体的な実践方法はひと休み。
一般的によく言われる“乾燥肌”“脂性肌”などの
分類についてお話します。
ところで白木さんのお肌は?
「コスメフリークだった頃、
デパートの化粧品売り場でカウンセリングを受けると
“乾燥肌”って診断されてました」
▼『肌質』が意味するもの
かつて白木さんも店頭で指摘されたという『肌質』。
生まれもった肌質のような響きがありますが、実際は
一次刺激性物質との接触によって肌に現れている
『トラブルの状態』を分類しているだけなのです。
カサついているから、たっぷり保湿をしましょう。
ベタついているから、丁寧に洗顔をしましょう。
というように肌を分類し
解決法を提示することで
カウンセリングがしやすくなる。
つまり、化粧品が売りやすくなるというわけです。
「牛田さん、身もフタもなさすぎます……」
びっくりする方もいらっしゃるかもしれませんが
これが現実です。
▼“○○肌用のスキンケア”に走る前に
同じものに接触していても
カサついたり、ベタついたり、ニキビができたりと
人によって反応の現れ方はさまざまです。
安易に“○○肌用のスキンケア”に走る前に、
なぜ肌トラブルが起きているのか。
その原因を突き止めましょう。
◎肌がカサついている場合(一般にいう“乾燥肌”の方)
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肌がカサカサしているときは
角質の異常剥離が起こっています。
これは一次刺激性物質と接触している
“証拠”でもあります。
よかれと思ってつけている保湿剤が
かえって何かをつけずにはいられない乾燥感を
引き起こしているのです。
洗顔料やシャンプー・リンスの使用をやめ、
一次刺激性物質の残留した衣類・寝具・タオルなど
肌を傷めるものとの接触を避けましょう。
クリームや乳液の使用はやめていても、
保湿をしないとシワになるという不安から
オイルなど“肌にやさしい”といわれるもので
保湿をしている方もいらっしゃいますが、
これらも一次刺激性物質です。
肌の弱い方にとっては
けっして“やさしい”ものではありません。
◎肌がベタついている場合(一般にいう“脂性肌”の方)
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お湯だけではベタつきがとれない、
石けんを使わないと皮脂がたまってしまう。
こんな場合は、洗浄剤の使用が
かえって過剰な皮脂分泌を促進させています。
洗顔料やシャンプー・リンスの使用をやめ
一次刺激性物質の残留した衣類・寝具・タオルなど
肌を傷めるものとの接触を避けることで、
すぐに過剰な皮脂分泌は治まっていきます。
▼肌トラブルの症状は人それぞれ
先ほどもお話しましたが、
一次刺激性物質との接触によって起こる
肌トラブルの症状には個人差があります。
同じものに触れていても
ベタつく人、カサつく人、その両方が出る人。
毛穴が広がる人がいれば、黒ずむ人も。
トラブルが現れる部位もさまざまで
顔だけに出る人、身体だけに出る人、頭皮にも出る人、
全身に出てしまう人もいます。
また、トラブルが起こる時期も
季節の変わり目だけ、生理前だけ、夏だけ……
というように、人それぞれです。
「私が乾燥肌と診断されたのは、
化粧品や洗浄剤などの刺激物質に
日常的に触れることで
肌がカサついていたからなんですね」
▼皮膚のしくみは誰でも同じ
今回は、一般的によく言われる
“○○肌”などの分類についてお話しました。
カサつきがちだから乾燥肌、
ベタついているから脂性肌。
というように、
生まれつきそうだったかのように
ご自分の肌質を捉えてしまいがちですが
カサついているのも、ベタついているのも、
一次刺激性物質と接触しているから。
生まれたときから
乾燥肌・脂性肌だった人はいないのです。
今回お話したように、
肌トラブルの起こる部位や症状には個人差があります。
しかし、皮膚の生理・構造は誰もが同じです。
なぜカサついているのか、
なぜベタついているのか。
皮膚のしくみを正しく理解して、
トラブルの原因を考える習慣を持ちましょう。
【第5講のポイント】
●生まれつきの
“○○肌”はありません。
●接触によって起こるトラブルの症状は
人によって異なります。
また、トラブルの起こる部位にも
大きな個人差があります。
本日の講義はここまで。
ではみなさん、また明日お会いしましょう。
第6講は『改善しない理由を探る』
をお届けします。