【第2講(2日目)】非接触生活、まず行なうこと
こんにちは。
皮膚臨床技術研究会のシニアフェロー、牛田専一郎です。
昨日お届けした第1講では、
肌の強さ・弱さについてお話しました。
みなさんの肌はどちらのタイプだったでしょうか?
「こんにちは。白木です。
今日からいよいよ、
非接触生活の実践方法に入りますよ~!」
▼『非接触生活』とは
非接触生活とは、
“肌の弱い人が、一次刺激性物資との接触を断って
健康な素肌を取り戻すための生活習慣”のこと。
以下8つの実践項目があります。
【非接触生活・8つの習慣】
(1)基礎化粧品、シャンプー・リンスを使用しない
(2)肌にトラブルのあるときはメイクをしない
(メイクが必要なときは
お湯と手ぬぐいのみで落とせる程度に)
(3)日常生活では日焼け止めを使わない
(4)顔、身体、髪、手は水またはお湯のみで洗う
(5)肌に触れる衣類や寝具は指定の洗剤で洗う
(6)抗菌剤配合の浴槽用洗剤や、
除菌・消臭スプレーを使用しない
(7)クリーニングに出した衣類や寝具は
直接肌に触れないようにする
(8)日常的に手で顔や髪に触らない
☆各項目の詳しい解説はこちらでどうぞ。
http://hisesshoku-derm.com/contents/style/nanimo.php
「8つの項目がズラリと並ぶと
なんだか圧倒されちゃいますね~」
いずれはすべてを実践していただきたいのですが、
8項目を同時に始めるのは難しいかもしれません。
そこで今回は、
“すぐに始めてほしい2つのこと”
をご紹介します。
▼すぐに始めてほしいこと・その1
ーー 衣類や寝具を指定の洗剤で洗う ーー
8つある習慣のうち、
『洗濯洗剤を指定のものに切り替えること』
が後回しになりやすいようです。
皮膚臨床技術研究会では、
衣類・寝具用の洗剤として
ライオンの「トップクリアリキッド」または
サウンドスタイルの洗濯用洗剤・中性洗剤を
指定しています。
上記以外の洗濯洗剤で洗った布地には
柔軟剤や抗菌剤、遊離脂肪酸などが残留しており、
肌を傷める原因となります。
衣類や寝具は、長い時間、素肌に触れるもの。
その影響は意外にも大きく
顔の赤みやニキビ、身体のかゆみ
などの症状となって現れることも。
使用中の洗剤を使いきってから……ではなく、
今すぐにサウンドスタイルの洗剤、または
「トップクリアリキッド」に切り替えましょう。
指定以外の洗剤で洗ったもの、新品のものは
指定の洗剤で2回以上洗濯をしてから
使用・着用しましょう。
▼洗濯洗剤を指定する理由
「トップクリアリキッドやサウンドスタイルの洗剤を
指定しているのは、なぜですか?」
市販されている液状の洗濯洗剤の中で
◎柔軟剤・蛍光増白剤・抗菌剤を使用していない
◎石けんや油脂由来の界面活性剤を使用していない
という2つの条件を満たすものは、現在のところ
トップクリアリキッドとサウンドスタイルの
洗剤しかないからです。
「指定の洗剤にも界面活性剤が
含まれているようですが……?」
たしかに、界面活性剤は
肌を傷める一次刺激性物質のひとつです。
白木さんが不安に思うのも分かりますが、
洗濯洗剤は布地につけた後、
水で洗い流してしまうもの。
肌に直接つけるものではありませんから、
界面活性剤が含まれていても大丈夫なのです。
皮脂などの汚れや
布地に付着した柔軟剤や抗菌剤を落とすための
洗浄力を確保するには界面活性剤は欠かせない成分です。
▼石けんは肌にやさしい?
「いま石けんで洗濯している方も、
指定の洗剤に切り替えなくてはいけませんか?」
石けんは肌にも、環境にもやさしい。
というイメージを持っている方も多いと思いますが、
石けんもれっきとした合成界面活性剤です。
家庭用品品質表示法の中で
「合成洗剤」と「石けん」を区別して表示しているため、
石けんは界面活性剤でない、
という誤解が生まれやすいようです。
石けんで洗濯をすると、
炎症起因物質である脂肪酸が布地に残留し、
肌の弱い人は 触れた部分にトラブルを
起こすことがわかっています。
石けんカスは洗濯槽にも付着しているため、
かつて石けんで洗濯していた先輩フェローからは
指定の洗剤に切り替えた後も肌トラブルが続いた、
というご報告が寄せられています。
石けんで洗濯していた方は
洗剤の切り替えと同時に、
洗濯槽の洗浄も行いましょう。
その作業をプロの業者さんにお願いした方や、
洗濯機を買い換えた方もいます。
脂肪酸については、こちらで詳しくお話しています。
☆第232号 満を持して?『脂肪酸と炭素数』の秘密
http://hisesshoku-derm.com/archives/2010/04/232.php
▼すぐに始めてほしいこと・その2
ーー 洗浄剤の使用をやめ、水・お湯で洗う ーー
健康な肌では、皮膚常在菌が
悪性菌の繁殖を抑制しています。
ところが、洗浄剤を使用すると
皮膚常在菌のバランスが崩れて、
皮膚は正常なバリア力を保てなくなってしまいます。
顔、身体、髪、手は
水またはお湯だけで洗いましょう。
どの部分を洗うにも、
秘密の手ぬぐいで軽く拭うだけで
充分に汚れを落とすことができます。
お湯洗髪の方法はこちらをご参考になさってください。
☆お湯洗髪成功レポート
http://hisesshoku-derm.com/archives/2007/03/post-14.php
▼成功の秘訣は「8項目をすべて実践」!
第2講では
“すぐに始めてほしい2つのこと”について
お話しました。
「この2つができれば安心……
ではないんですよね?」
ええ。
この2つは“取っ掛かり”に過ぎません。
非接触生活を成功させるポイントは
8つの生活習慣をすべて実践することです。
“できるものだけ行う”というやり方は
肌の弱い方には意味がありません。
1つでも刺激物質に接触していると、
非接触生活を始める前より
悪化したように感じてしまうこともあります。
【全項目を実践できたときから肌の変化が始まる】。
このことを、覚えておいてくださいね。
【第2講のポイント】
●洗濯洗剤の切り替え、衣類・寝具の
洗い直しは今すぐに!
●洗濯石けんを使っていた場合は、
洗濯槽の掃除も必須です。
●皮膚常在菌のバランスを保つために
洗浄剤の使用をストップしましょう。
本日の講義はここまで。
ではみなさん、また明日お会いしましょう。
第3講は『見落としがちな間接接触について学ぶ』
をお届けします。