水溶性ビタミンの一つで、抗壊血病因子(antiscorbutic factor)として発見されたことから、アスコルビン酸(ascorbic acid)と呼ばれている。アスコルビン酸には、光学異性体であるD体のD-arabo-AsA(エリソルビン酸)があるが、D体には生理作用がなく、通常、アスコルビン酸とはL-xylo-AsA(L−アスコルビン酸)を指す。白色結晶で酸味が強く、水、アルコールに溶けやすいが、エーテルやベンゼンなどの有機溶媒には不溶である。熱やアルカリに不安定で、紫外線や銅、鉄などの金属イオンにより分解しやすい。工業的にはトウモロコシやキャッサバなどの澱粉由来のソルビトールから発酵法で生産されている。

●必須ビタミン・アスコルビン酸

アスコルビン酸は、強い還元作用により、生体内では様々な酸化還元反応に関与している。多くの動物はブドウ糖を初発物質としてウロン酸サイクルを利用し、体内でアスコルビン酸を合成出来るが、霊長類やモルモットはこの生合成経路の最終段階を触媒するL-グロノ-γ-ラクトンオキシダーゼ(酵素)が遺伝的に欠損しているため、食物からの摂取が不可欠である。その所要量は成人で一日100mgとされており、新鮮な野菜、果物、芋類、緑茶に多く含まれている。欠乏すると、壊血病やメルレル・バロー病を起こす。摂取後、アスコルビン酸は小腸上部から吸収され、門脈を経て肝臓で一部は代謝されるが、多くは副腎や脳下垂体などの組織に取り込まれる。吸収されなかったものや、過剰摂取されたものは、尿や便として排泄される。

●アスコルビン酸の生体内作用

また、アスコルビン酸の生体内作用として、以下のものが挙げられる。

・ 抗酸化作用:スーパーオキシド(O2-)、ヒドロキシラジカル(・OH)、過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)などの活性酸素種の消去剤として機能する。
・コラーゲンの形成:ヒトの総タンパク質の約30%を占めるコラーゲンの合成に関与する。コラーゲンが正常な三次構造を形成するために、そのペプチド鎖中に多く含まれるプロリンとリジンが水酸化される必要がある。この水酸化を触媒する酵素は鉄イオンを必要とするが、その還元にアスコルビン酸が必要である。
・ 生体異物の代謝:体内に進入したさまざまな異物はシトクロームP-450というタンパク質で解毒/代謝されるが、アスコルビン酸はこの酵素類の活性化を維持する。
・コレステロール/脂肪酸の代謝:脂肪酸の分解に関与するカルニチンがリジンから生合成される過程の二つの水酸化酵素のコファクターとなる。さらに、コレステロールから胆汁酸が合成される過程でもアスコルビン酸を必要とする。
・アミノ酸、ホルモンの代謝:副腎髄質や神経組織で、チロシンからノルアドレナリンが生成される過程に含まれるドーパミンヒドロキシラーゼにアスコルビン酸が必要である。
・鉄分の吸収促進
・発がん物質ニトロソアミンの生成を抑制
・免疫力の増強

●アスコルビン酸の酸化・還元

アスコルビン酸が強い還元作用を示すのは、L―アスコルビン酸(還元型)から容易に酸化されてデヒドロアスコルビン酸(酸化型)になるためである。そのため、食品・飲料の酸化防止剤として使用されている(食品・飲料の代わりに酸化するため)。アスコルビン酸の酸化は二段階で進む。一電子が引き抜かれモノデヒドロアスコルビン酸になり、この中間体は二分子の不均一化反応によりアスコルビン酸と酸化型アスコルビン酸になる。アスコルビン酸が効率的に生理機能を発現するためには、アスコルビン酸の再還元系が必要となる。モノデヒドロアスコルビン酸はNAD(P)Hを電子供与体とするモノデヒドロアスコルビン酸還元酵素により、デヒドロアスコルビン酸はグルタチオンを利用する還元酵素により再還元される。

●アスコルビン酸の皮膚に対する作用

・コラーゲンを生成し、皮膚の弾力性を保つことにより、たるみやシワを予防・改善する。
・紫外線により作られるメラニンの生成を抑制しながら、沈着したメラニンを還元し、
白色メラニンにする。これにより、シミを予防・改善する。
・過剰な皮脂分泌を抑制し、同時に活性酸素を除去することにより、過酸化脂質の生成を
 防ぎ、ニキビを改善する。
・過酸化脂質の生成を抑え、また、生成された過酸化脂質を還元し、
 基底層の細胞を活性化する。
・角質層のNMF(天然保湿因子)のバランスを正常化し、皮膚にうるおいを持たせる。